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篠窪 蛍の幽谷

重なりて 蛍の水を 覗きけり(長谷川かな女)。
この句のぴったりの情景が、篠窪の「蛍の水」。集落の外れに位置する民家の土手からこんこんと湧き出る清水は「蛍の水」と呼ばれている。大昔から枯れることがない湧水で、ハイカーなどにも親しまれている。そばを中村川が流れているが、この川は篠窪が水源地で、小田原市と二に宮町の境で相模湾に注いでいる小さな河川。

「蛍の水」の付近は隠れた蛍の名所となっている。近くには、以前小さな棚田もあった。 一帯にはカワニナが多く、蛍の生息には最適の環境。今春にはそばの民家には、ホタル鑑賞のため「蛍水庵」という四阿や池が手作りされた。完成直後の池では、カエルが大量の卵を産み、オタマジャクシが大発生、自然度の高さがうかがわれた。この「蛍の水」から下流、600メートルにわたり、中村川の渓谷が続く。急峻なV字型の谷は「篠窪幽谷」と呼ばれている。谷の左岸中腹には細い山道が通り、町のハイキングコースとなっている。昼なお暗い雰囲気で、ハイキングの穴場となっている。
渓流には以前、五カ所に水車小屋があったが関東大震災(1923)で消滅した。
いまでも谷間には石臼が埋まり残されている。

蛍の水と篠窪大橋。
篠窪幽谷入口に立てられた石碑。